AUGUSTE RODIN

アッサンブラージュ

《女のケンタウロスのトルソと絶望する若者》の写真
《女のケンタウロスのトルソと
絶望する若者》

《女のケンタウロスのトルソとイリスのためのトルソ》の写真
《女のケンタウロスのトルソと
イリスのためのトルソ》

《女のケンタウロスのトルソと女のトルソ》の写真
《女のケンタウロスのトルソと
女のトルソ》

ケンタウロスとは、ギリシャ神話に登場する怪獣で、腰から上が人間、下が馬である。人間と獣、理性と本能の両方を併せ持つ。《地獄の門》では、左柱の中ほどから少し上の部分にケンタウロスが作られている(ダンテ『神曲・地獄篇』第12歌にケンタウロスが登場することによる)。

ロダンはケンタウロスを好み、様々な作品に登場させている。その一つに《魂と肉体》と題された女のケンタウロスを形作った彫刻がある。この彫刻の一部分に他の彫刻を合体させて作られたのが、これら3つの作品である。ケンタウロスの上半身と、イリスや若者、女の上半身とは、様々な角度でくっつけられている。また、ケンタウロスという理性と本能の意味に、イリス(虹の神)=使者や、絶望などの意味が付け加えられており、たくさんの意味がこれらの彫刻では、結びつけられている。

ロダンはこのように、別々の彫刻を強引にくっつけ、新しい彫刻を作った。こうした手法をアッサンブラージュ(寄せ集める、組み合わせるという意味のフランス語)と呼ぶ。これによってロダンは、様々な意味と形の実験を行ったのである。だがそもそも《地獄の門》自体が、様々な彫刻作品の組み合わせでできているから、アッサンブラージュはロダンの彫刻づくりの土台となる考え方の一つだったと言うこともできよう。

別々のものを組み合わせることによって、まったく新しい形や意味を作り出すこと。これは、やがてピカソなどの20世紀の美術家たちに引き継がれていく。ロダンは、こうした革新的な手法を編み出した先覚者であった。