美術館概要館長あいさつ

静岡県立美術館はJR草薙駅(静岡駅より東京方面へ2駅目)の南、静岡市駿河区谷田(やだ)の小高い丘の上にあります。JR草薙駅から美術館までバスに乗るか、あるいは静岡鉄道の「県立美術館前」から歩くのがよいと思います。プロムナードには桜並木が続き、やぶきた茶の原木やツツジ、百日紅のほか、緑豊かな木々の間に著名な作家の彫刻が点在し、散策するのも楽しいです。美術館の裏側(南側)にも散策路が続き、坂を登ると眺望も開け、清々しい気持ちになります。

本館の建物はどっしりとし、落ち着いた雰囲気があり、別館のロダン館は明るいドーム天井のモダンな建物で、若者から年配者まで親しんでいただけると思います。所蔵品は、日本と西洋の風景を中心とした17世紀以降の絵画、およびロダンと近代彫刻を核としますが、幅広く東西の優品の収集に努めています。また、本館にある実技室では子供から大人まで、様々なメニューの実技教室を提供しています。

昨年度の展覧会を振り返ってみますと、「シャガール 色彩の詩人展」「国宝鑑真和上展」「十二の旅―経験と感性のイギリス美術展」「風景ルルル展」「富岳ビエンナーレ展」「朝鮮王朝の絵画と日本展」と6つの展覧会を開催しました。とりわけ「国宝鑑真和上」では、日本の仏教美術の至宝を多くの方々に堪能して頂き、講演会も大盛況でした。また「風景ルルル展」は、若い人たちを中心に、現代美術の面白さが共感をもって迎えられました。2009年2月〜3月開催の「朝鮮王朝の絵画と日本展」は、これだけの規模の朝鮮絵画展は初めてのもので、近くて遠かった韓国の文化が身近になり、日本・韓国・中国の関係の深さと違いが実感できたと好評をいただきました。

今年度も古今東西のヴァラエティに富んだ展覧会を開催します。簡単にご紹介しましょう。
まず、4月11日〜5月15日の「よみがえる黄金文明展」は、ブルガリアで発掘された古代トラキアの新発見の秘宝の数々を展示するものです。ギリシャやペルシャとも関係深い古代トラキア文明の実態は謎に包まれていますが、近年注目を集め、そのヴェールが除かれようとしています。お見逃しなく。

続く5月26日〜7月5日の「柳澤紀子展」は、静岡県出身で海外でも幅広く活躍する柳澤紀子の全貌を紹介するものです。人体を通して“現代”と“永遠”を見つめ続ける、県ゆかりの作家展として開催し、詩人吉増剛三とのコラボレーションも予定しています。

7月14日〜8月30日の「パウル・クレー 東洋への夢」は、クレー財団の協力を得て、日本でも人気の高いクレー美術の知られざる側面―東洋への関心―に光を当てた展覧会です。クレーの生涯と芸術を再発見できる楽しみな展覧会になること間違いありません。

9月10日〜10月18日の「狩野派の世界2009」展は、当館の誇る狩野派のコレクションに、新たに発見された作品も加えて一挙公開する当館ならではの企画展です。20年以上に及ぶ当館の収蔵品は、購入・寄贈・寄託の作品を含め、素晴らしいコレクションが形成されていますので、それを生かした展覧会を毎年一回は開催したいと思っています。「狩野派の世界2009」展はその一環です。

10月24日〜11月8日の「国民文化祭 美術展」の後、2009年11月9日〜2010年3月31日まで本館が工事のため休館となります。本館の建物はしっかりしていますが、建設以来23年を経て、いろいろ不具合が生じ修理の必要があります。安心できる快適な設備を保つためにご理解をいただきたく思います。5ヶ月近く本館は休館となりますが、この間、ロダン館のみ2010年1月16日〜3月31日は開館します。また、三島市佐野美術館(2010年1月5日〜2月14日)と掛川市二の丸美術館(同年2月20日〜3月28日)では、当館所蔵の名品を出展する展覧会ありますので、お出かけいただければ幸いです。

当美術館は開館以来23年が経ち、“大人”としての美術館活動が求められています。豊かな自然環境を生かしつつ、施設設備の一層の充実を図り、多様なニーズに応えながら魅力ある展覧会を開催し、学校教育や生涯教育とも連携して、美術の楽しさと奥深さを体験できる場にしたいと願っています。 館長 宮治昭