コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

超絶技法木版—清親の野心作

小林清親 《猫と提灯》

1877-81(明治10-14)
紙、多色刷木版
33.5×46.0cm

提灯の中に逃げ込んだ鼠の尻尾を押さえる猫。その一瞬の動きを微妙な光の中にとらえる。猫の毛並みやひげ、光のよって諧調を変える提灯の描写は特筆もの。銅版画風の細かな点描表現が、木版で達成されたのは驚きですらある。清親初期を代表する超絶技法木版。

小林清親(1847〜1915) 明治の浮世絵師。幕臣として明治初年静岡に身を寄せた。西洋画法を取り入れた「東京名所図」でその名を高めた。

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