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モーリス・ルイス
Morris LOUIS

1912-1962

アメリカ、メリーランド州ボルティモア生まれ。同地の美術工芸学院で学び、1937-40年WPA連邦芸術計画に参加すると同時に、シケイロスの工房に入る。初期には抽象表現主義的な作品を制作していたが、1954年ニューヨークに出てモダニズム批評の旗手クレメント・グリーンバーグと知り合い、更にへレン・フランケンサーラーの作品に触発されたことが画家としての転機となった。すなわち、彼女の滲み込み技法を発展させた、流し込み技法による「ヴェール・ペインテイング」の技法を創出。以後、色彩による空間表現を目指したカラー・フィールド・ペインティングと称される絵画動向をリードする作家となる。1960年代には「アンファールッド」、「ストライプ」のシリーズに着手。ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニングらのニューヨーク派に対し、ワシントン派と呼ばれることもある。ワシントンにて没。


ベス・アイン

1958年
アクリル,キャンヴァス 232.0×333.0cm
昭和59年度購入 

モーリス・ルイスはポスト・ペインタリー・アブストラクションの代表的作家の一人。彼の1950年代の画業は、本作を含む「ヴェール・ペインティング」のシリーズに集約される。その特色は、スケールの大きさと技法の革新性にある。それは、地塗りを施していない画布(ロウ・キャンヴァス)に、新しく開発されたアクリル絵具(マグナ)を直接流し込むスティニングという方法であった。併置されたり、重ね合わされた絵具は複雑な色彩のオーケストレーションを生み出し、様々なトーンの幾層ものヴェールがキャンヴァス全体に出現し、広がる。が、絵具はあくまでも薄く透明であり、その結果、色彩と一体化したキャンヴァスもまた平坦な外貌である。 美術固有のメディウムに着目したルイスの作品は、他の作家と異なる物質的仕上りと効果を獲得した。それはまさに、色面で構成される絵画(カラー・フィールド・ペインティング)であり、3次元的・再現的なイリュージョンを排除したモダニズムの作品である。(M)


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